どうして自分を傷つけてしまうのか

以前親知らずを抜いたのですが、歯茎への麻酔がなぜかとてもとても痛くて、その上なんだか気持ち悪くなって、「なんだこれ!」というパニックからか人生初の過呼吸になってしまいました、、、

病院からの帰り道、今まで病気や治療とは無縁だった私には打撃が大きく、あんな思いは2度としたくないと心の底から思いました、、、
 
誰だって、痛かったり、苦痛を与えられることは嫌ですよね。でも、中には自分で自分を傷つけてしまう方がいます。
 
私は今までに1人だけ、腕の自傷の傷跡を見たことがあります。
冷静を保つものの、衝撃を受けると同時に、純粋にどうして痛いのに傷つけるんだろうと疑問でした。
 

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日本では自殺者が非常に多いことが問題になっています。単純計算だと1日に約100人が亡くなっていることになります。先日も、女子中学生が手を繋いで線路に飛び込むという衝撃的なニュースが流れました。
 
ただ、"自殺"と"自傷"は似て非なるものです。
"自殺"は何らかの手段によって自分を殺そうとするものですが、"自傷"は心の苦痛を体の苦痛に変換することで、体の痛みという説明したりコントロールできるものにし、心の苦痛から意識をそらすものです。
つまり、今日を、明日を、"生きるために自傷する"とも言えます。
 
でも、10代において自傷や過量服薬を行った経験のある人は、そうでない人と比べ10年以内に自殺で亡くなるリスクが数百倍高くなると言われているそうです。また、自殺者のほとんどが何らかの精神疾患をもっていたという調査結果もあります。
習慣化しエスカレートしていく自傷は、自殺に少なからず関連があるため、しっかりとしたアプローチは必要になってきます。
 
 
また、自傷してしまう方には、幼少期の病気や被虐待体験が大きく関係していると言われています。
 
病気は、繰り返し手術などを受ける経験となり、身体に傷をつけることに対する抵抗感を減らしたり、自分の体への否定的なイメージへと繋がる可能性があるそうです。
 
被虐待体験では、苦痛に満ちた環境の中で援助を求める意欲を失くした子どもが、さらに何も感じないという"無感覚状態"になることで、つらい時間をやり過ごそうとする習慣を身につけてしまいます。
そうして周りに助けを求められないようになり、自分を傷つけてしまうことになるのです。
 
 
私は自分を傷つけるということを知っていくうちに、つらさを周りにぶつけることなく自分だけで解決しようとするその行為は、ある意味では真っ直ぐで強いものだなとも思うようになりました。
 

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精神分野の実習で、本当に精神疾患を抱えているのだろうかと思うような方々とも関わらせていただいています。
笑顔の優しい上品なおばあちゃん。両親よりも少し若いくらいの物静かであたたかそうな女性。
 
精神単科の病院にいるから彼らが病気を抱えているとわかるけれど、ここで出会わなければわからなかったような方々もいる。
いかに心の問題が目に見えなく、そして誰にでも起こりうることなのかということを実感しています。
 
 
みんないくらでも悩みなんてあるし、どんなに近しい人にも言えないことだってある。
もう嫌だな、消えてしまえたら楽なのになと、"死にたい"と明確に考えなくても、漠然とした思いにふける経験は多くの人にあることではないでしょうか。
 
そういう時、私の何がわかるんだと殻に閉じこもりがちだけれど、私のことを救ってくれるのはいつだって周りにいてくれる人たちでした。
 

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私は、私の大切な人たちのSOSに気付けているのだろうか、ちゃんと手を差し伸べられているのだろうか。
私は、今目の前にいるあなたのことがだいすきなんだよと、一緒に生きていきたいんだよと、言葉と態度で伝えていけたら、、、それがどんなに難しいことかわかっているつもりですが。
 
そして自分のことも。
「あなたは生きているだけで魅力があって価値があるんだよ」
大切な人がそんな風に言ってくれる自分を、最近自分自身があまり大切にできていなかったことに気づかされる出来事がありました。
 

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日々、生きるってなんて難しいんだろうと思ったりするけれど、たぶん難しく考えるからそう思うだけ。
周りの人への感謝を忘れず、私は私の心の向くままに、こころも健康で生きていきたいです。
 



 
 
 
*参考文献
 ・自傷・自殺する子どもたち 松本俊彦
 ・自分を傷つけられずにはいられない 松本俊彦
 ・ドキュメント 自殺 森省歩